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目指せハードボイルド シーン2

2005-10-25 (Tue) 00:01[ 編集 ]
JACK DANIEL'S ≪味≫

仕事帰りのワンショット、
大阪は北浜にある SOUL BAR SMOOCHY の扉を開ける。

「いらっしゃいませ」

「ジャックをクラッシュで。」

「かしこまりました」

JACK DANIEL'S…ジャックダニエル…と言えば…もうかれこれ10年以上も音沙汰のない、友人Nのことを思い出す。
帰国子女のNは、自分が家族と一緒に海外の様々な国を点々としてきた話や、アキノ大統領暗殺直前のフィリピンにいた話、それから湾岸戦争直前のイラクにいた話なんかを、よく友達の前で自慢げに話したものだった。他人の自慢話を何度も聞く趣味は持ち合わせていなかったが、何度聞いても飽きないほど彼の話には魅力があった。だから私は彼の話が始まると、いつも身を乗り出して夢中になって聞き入ったものだった。
当時大学生だったNは、神戸の岡本という街の家賃20万円もする賃貸マンションで一人暮らしをしていた。家賃は全額 親が支払っているようで、彼はいつも自由気ままだった。そんな彼のことを、みんな羨ましがったが、私はNの孤独を知っていた。
海外を飛び回って日本に帰って来ない商社マンの父、東京の一流大学に合格し上京した妹、そして妹と一緒に東京に行ったきり一度も帰って来ない母。実際、友人たちの間で、Nの周りに家族らしい影を見た者は誰もいなかった。そう、彼はいつも寂しかった。

NのマンションはNが選んだ友人たちの格好の溜まり場となった。そしてNがたびたび皆に振舞ったウィスキーが、決まってジャックダニエルだった。

「ジャックはテネシーウィスキーだってこと知ってる?」
「知ってるよ、バーボンじゃないんでしょ?」
「そう、蒸留の工程がちょこっとだけ違うんだ。それでバーボンじゃないってことにされてる」
「…されてる?」
「うん。バーボン党の人たちはジャックをバーボンじゃないって言うんだけどね。とうもろこしからできてるのはバーボンと同じだし、バーボンだからってコレと決まった味があるわけじゃないだろ? なのに、彼等はジャックはテネシーウィスキーだから、バーボンじゃない…なんて言うんだよ。おかしいよね、だってジャックはアメリカの法律でもバーボンに分類されてるバーボンなんだぜ。」
「へぇ…そうなんだ。」
ジャックのことを熱く語るNは、なんだかN自身とジャックとを重ねて、私に何か訴えかけているように思えた…

80年代の曲が流れる店内。

「私もそれ…好きなんですよ」

「へえ~~、マスターも? ジャックをクラッシュアイスで割るってめずらしいでしょ?」

「そうですか? 私がそれを飲むときは自分へのご褒美のときって決めているんです」

「ふふ…テネシーウィスキーか…」

「えぇ、とってもイカしたバーボンです」

Nは日本国籍を捨てて、グリーンカードを取り、アメリカ国籍の人となった。
彼とまたいつかどこかで会えるだろうか。

「マスター、お勘定」

Nと久しぶりに会えたような気がした日。


(pilo@ふくたま)

今回は全然ハードボイルドじゃなかったなぁ。。
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コメント

かっこいいです。次元みたい…(≧ω≦*)

かたゆでタマゴなら

厚みの少ないミニボトルを内ポケットかジーパンなら尻ポケットに突っ込んで旅に出る。

なまたまご

とりあえず、ビールで・・・

かたゆでタマゴでも

なまたまごの時代があった…と言っておこう。
この後、きっちり旅に出る。
ごえもんさがしとか、そんなの。

サザンソウル

ソウル・バーにてジャックをクラッシュで飲るときはコントローラーズをリクエストしたいっす!

たろちゃんに

すすめられるがままに…
ステキです。

復帰してみれば

ちょっぴり大人な雰囲気の記事が出ていてびっくりした。
とりあえず、Nさんに乾杯。
(会社のお茶を飲み干した)

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